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  • 2025.12.03

    相続税がかかる人・かからない人のボーダーラインとは?    〜今のうちに知っておきたい相続の基本〜

    個人向け相続・贈与

    「うちはそんなに財産がないから、相続税は関係ないと思っている」──相続のご相談で、よくお聞きする言葉です。しかし実際には、土地や自宅、保険金、退職金などを合計すると、思っている以上に金額が大きくなり、「気づいたら相続税の対象だった」というケースも少なくありません。

    一方で、本来であれば相続税がかからないはずなのに、仕組みを知らないまま不要な不安を抱えている方もいらっしゃいます。「相続税がかかる人」と「かからない人」の違いは、いったいどこにあるのでしょうか。

    本記事では、相続税の基本的な考え方から、ボーダーラインの考え方、今からできる対策の入口までを、できるだけやさしく整理して解説します。

    まずは整理したい「相続税がかかるかどうか」の考え方

    相続税がかかるかどうかを判断するうえで、大きなポイントになるのは次の3つです。

    ① どれくらいの財産があるか

    ② 誰が何人、相続人になるのか

    ③ 非課税枠や各種特例をどう活用できるか

    相続税には一定の「基礎控除」があり、このラインを超えるかどうかが、ひとつの大きな目安になります。ただし、単純に預金の残高だけではなく、不動産や保険金なども含めた“全体像”で考えることが重要です。

    相続財産は「現金だけ」ではありません

    相続税の対象となる財産は、現金・預金だけではありません。多くのご家庭で見落とされやすいのが、次のような項目です。

    【主な相続財産の例】

    ●自宅・土地・駐車場などの不動産

    ●預金・現金・有価証券(株式・投資信託など)

    ●生命保険金(一定額までは非課税枠あり)

    ●退職金(死亡退職金として支給されるもの)

    ●借地権・貸付金・事業用の資産 など

    「預金はそれほど多くないが、自宅の評価額が高く、結果として相続税の対象になる」というケースは、都市部を中心に少なくありません。まずは、財産の種類と大まかな金額を一覧にしてみることが大切です。

    相続税のボーダーラインを考えるときのポイント

    相続税がかかるかどうかを判断する際には、「どれだけ財産があるか」だけでなく、「どれだけ差し引けるか」もセットで考えます。

    ① 借入金や葬儀費用などは差し引ける

    被相続人に住宅ローンや事業用借入金がある場合、それらは「債務」として財産から差し引くことができます。また、葬儀費用や一定の未払い医療費なども控除の対象となります。

    そのため、「不動産などの資産」と「借入金などの負債」のバランスも、ボーダーラインを考えるうえで重要なポイントです。

    ② 生命保険・退職金には“非課税枠”がある

    生命保険金や死亡退職金には、相続人の人数に応じた非課税枠が設けられています。適切に加入していれば、一定額までは相続税の対象に含めずに済む可能性があります。

    「保険は税金対策になる」と言われる理由のひとつが、この非課税枠の存在です。ただし、保険の種類や契約状況によって取り扱いが異なるため、個別の確認が必要です。

    ③ 自宅や事業用地に使える“土地の特例”もある

    相続税の計算においては、自宅や事業用の土地について、一定の要件を満たすことで評価額を大きく下げることができる特例があります(いわゆる「小規模宅地等の特例」など)。

    たとえば、自宅土地の評価が大きくても、この特例を適用することで、結果として相続税の負担が発生しない、あるいは大きく軽減されるケースもあります。

    ただし、適用要件や申告の期限を守ることが前提となるため、「あとから気付いたけれど、もう適用できない」という残念なケースも実務上少なくありません。

    「相続税がかからないつもりだったのに…」というよくあるパターン

    次のような場合、「自分は相続税とは無縁」と思っていた方が、実は課税対象となっていた、ということがよくあります。

    ●自宅とその土地の評価額が想像以上に高かった

    ●複数の不動産を保有していた(実家+アパート・駐車場など)

    ●生命保険金や死亡退職金が多額だった

    ●生前贈与で名義は子どもになっているが、実態は本人管理のままだった

    相続税は、「亡くなった時点の財産」と「過去の贈与」の両方を含めて考える必要があります。生前対策を始めるタイミングが遅いほど、できることは限られてしまいます。

    相続税がかからない場合でも“早めの整理”がおすすめの理由

    「試算してみたら、相続税はかからなさそうだった」という結果でも、早めに現状を整理しておくことには大きな意味があります。

    ●遺産分割の方向性が整理され、家族間のトラブルを避けやすくなる

    ●どの財産を誰が引き継ぐかを、事前に家族と話し合える

    ●相続発生時に慌てず、スムーズに手続きを進められる

    ●「万が一相続税が発生した場合の備え方」も考えておける

    相続は「税金」だけでなく、「家族のこれから」も含めたテーマです。税額の有無にかかわらず、元気なうちに一度棚卸しをしておくことをおすすめします。

    まずは「ざっくり試算」から。専門家と一緒に現状把握を

    相続税がかかるかどうかの判断は、ご自身だけで悩むよりも、専門家と一緒に「ざっくりした試算」から始めるのが安心です。

    ●自宅や土地の評価がどのくらいになりそうか

    ●生命保険や退職金の非課税枠をどう活かせるか

    ●借入金などの債務をどう考慮できるか

    ●相続人の人数や家族構成に応じて、どんな対策が取り得るか

    これらを整理することで、「相続税がかかる可能性はどのくらいか」「今からどんな準備をしておくと安心か」が、ぐっと具体的に見えてきます。

    相続・贈与・ライフプランの相談ならファーストパートナーズ会計事務所へ

    相続は一生のうちに何度も経験するものではありません。その一方で、準備の有無によって、税負担も、家族の負担も大きく変わります。

    ●「自分の財産に相続税がかかるか、まずは知りたい」

    ●「自宅や土地の評価がどのくらいか気になっている」

    ●「生前贈与や保険の活用について相談したい」

    ●「相続だけでなく、老後の生活資金も含めて考えたい」

    ファーストパートナーズ会計事務所では、相続税の試算や申告だけでなく、贈与・保険・ライフプランを含めたトータルなご相談に対応しています。

    「相続税がかかるかどうか」を知ることは、「これからのお金と家族のこと」を考える第一歩です。気になる方は、どうぞお気軽にご相談ください。