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相続は一生のうちに何度も経験するものではありません。そのため、「知らなかった」「もっと早く準備しておけばよかった」という後悔の声が、実務の現場では後を絶ちません。
相続税の負担が増えたケースだけでなく、家族関係が悪化してしまったケース、申告期限に間に合わなかったケースなど、後悔の理由はさまざまです。
本記事では、税理士として実際に見てきた“後悔につながったケース”を3つ紹介し、なぜそうなってしまったのか、どうすれば防げたのかをわかりやすく解説します。
親が子どもの口座にお金を振り込んでいた場合でも、その管理・使用を親が行っていた場合は「名義預金」と判断され、相続財産に含められることがあります。
●親が毎年100万円ずつ子どもの口座に入金していた
●口座の管理は親が行い、通帳も親が保管
●贈与契約書がなく、子どもも贈与を受けた認識が曖昧
相続が始まって税務署が調査した結果、「名義預金」と判断され、贈与ではなく相続財産に加算されたことで、想定以上の相続税が発生してしまいました。
●贈与は“通帳・印鑑・管理者”を子ども本人にする
●毎年の贈与契約書を作成する
●子ども自身が引き出し・使用できる状態にしておく
「贈与しているつもりだった」ケースは非常に多く、後悔の声がもっとも多い領域でもあります。
相続で最も揉めやすい財産は“現金ではなく不動産”です。特に、実家の分け方について意見が割れたまま話し合いが進むと、兄弟間の関係が大きく悪化することがあります。
●長男は「実家を残したい」と主張
●次男は「売却して現金で分けたい」と主張
●母を介護していた長男は「自分の取り分が少なすぎる」と不満
最終的には家庭裁判所で調停となり、時間も費用もかかったうえに、兄弟の関係は元のようには戻りませんでした。
●親の生前に「不動産をどう扱うか」を確認しておく
●遺言書を作成し、親の意向を明確にしておく
●介護の負担や生活状況も含めて、家族間で公平性を話し合っておく
仲が良い兄弟姉妹でも、不動産の分け方が曖昧だと一瞬で対立が深刻化します。
相続税には「申告期限(10か月)」があり、この期限を過ぎると使えるはずだった特例が使えなくなることがあります。
●親が亡くなったが、相続人が相続税の対象だと思っていなかった
●不動産の評価や遺産分割協議が遅れ、期限ギリギリに
●最終的に期限に間に合わず、小規模宅地の特例が使えなかった
本来なら相続税がほとんどかからなかったはずが、適用できないことで数百万円の追加負担となってしまいました。
●相続が発生したら、早めに専門家へ相談する
●不動産評価や遺産分割の方向性は初期段階で確認する
●期限までに使える特例を把握し、計画的に手続きを進める
「うちはそんなに財産がないから大丈夫」と思っていても、特例の有無で税額が大きく変わるため、早めの判断が不可欠です。
上記の3つのケースはいずれも、「事前の準備」や「正しい知識」があれば防げたものばかりです。
●財産の棚卸しをしておく
●贈与のルールを正しく理解する
●不動産の分け方を早めに考える
●専門家へ早期に相談する
相続は、お金の話以上に“家族の話”。早めの準備が、家族関係を守る一番の対策になります。
相続の失敗は、取り返しがつきません。しかし、事前に正しい準備をしておくことで、ほとんどの後悔は防げます。
●相続税がかかるかどうか知りたい
●名義預金にならないように贈与を整理したい
●実家の不動産の扱いについて家族で話し合いたい
●使える特例を最大限活用したい
ファーストパートナーズ会計事務所では、相続税申告はもちろん、生前対策・贈与・不動産の評価など、家族に寄り添った相続対策をご支援しています。
「後悔しない相続」を迎えるために、気になることがあればお気軽にご相談ください。
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