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コラム
「うちは家族仲が良いから相続でもめることはないと思う」──。相続のご相談では、こうした言葉をよく耳にします。しかし、実務の現場では、むしろ“仲が良い家庭ほど揉めることがある”という事実があります。
相続のトラブルは、財産の多い・少ないだけで決まるものではありません。 多くの場合、「価値観のズレ」「情報不足」「話し合いの不足」が原因で起こります。
本記事では、相続で揉める家庭の特徴と、家族仲に関係なくトラブルが発生してしまう理由、そして今からできる備えについて、実務経験に基づいてわかりやすく解説します。
相続トラブルは、特別な事情を抱えた家庭だけで起こるわけではありません。どの家庭でも起こり得る“共通点”が存在します。
揉める家庭の多くは、親が元気なうちに財産や意向について話し合っておらず、亡くなってから初めて「財産の内容」や「誰がどう分けたいか」を知ることになります。
●親の預金残高や不動産の内容を誰も把握していない
●遺言書がないまま相続が始まる
●兄弟それぞれが“自分の記憶”に基づいて主張してしまう
情報がないまま議論を始めれば、誤解や不信感が生まれやすく、たとえ仲が良くてもトラブルの原因になります。
相続でもっとも揉めやすい財産は、預金ではなく不動産です。 特に、兄弟姉妹の誰かが実家に住み続けている場合や、介護を担ってきた場合には、「誰がどれだけ受け取るべきか」という価値観の違いが表面化します。
●「実家を残したい派」 vs 「売却して現金化したい派」
●自宅の評価額が高いため、分け方が不公平に見える
●“介護した子”と“何もしてこなかった子”で意見が割れる
不動産は分けにくく、感情も絡みやすいため、最もトラブルが起きやすい項目です。
財産の分け方は法律で決まっているように見えますが、実際にはその家庭の文化や価値観が大きく影響します。日本では「長男だから」「介護したから」など、暗黙の期待がある家庭も多いです。
しかし──
その期待は言語化されていないことが多く、相続の場で初めて主張されるケースが数多くあります。
●本音を聞いておらず、突然主張が出て驚く
●それぞれが「自分が正しい」と信じて疑わない
●本人同士は良かれと思っていたため、感情的にこじれやすい
価値観が違うこと自体が悪いのではなく、事前に共有されていないことが、揉める最大の要因です。
「うちは仲が良いから大丈夫」と思っていても、相続になると突然対立してしまう家庭は少なくありません。その背景には、次のような心理や状況があります。
普段は仲が良くても、親の死をきっかけに、突然「財産をどう分けるか」というシビアな話をしなければなりません。準備がないまま本音をぶつけることになり、冷静な話し合いが難しくなるケースが多いのです。
地元に住んでいた子は親の財産状況を把握していても、離れて暮らす子はまったく知らない──。この「情報格差」が不信感の原因になり、結果として揉めるケースが多くあります。
相続は、単なる「お金の話」ではありません。
親への思い、兄弟間の関係、過去の出来事──さまざまな感情が絡み合い、冷静な判断がしにくくなります。
仲が良いほど感情が強く、衝突したときのショックも大きくなりやすいのです。
揉める理由の多くは「話し合っていないこと」「情報が整理されていないこと」にあります。次のような準備を早めにしておくことで、相続を穏やかに進めることができます。
●財産の一覧をざっくり作っておく
●自宅や土地の評価を知っておく
●親の意向(誰に何を渡したいか)を確認する
●できれば遺言書の作成を検討する
●専門家に相談して、争いを避ける分け方の選択肢を知る
相続は、準備の有無によって“争い”にも“安心”にもなるテーマです。 家族の大切な関係を守るためにも、早めの整理がとても重要です。
相続は家族の大切なテーマですが、税金・法律・感情が複雑に絡み合うため、一人で判断するのは難しいものです。
●「うちは相続で揉める可能性があるのか心配」
●「遺言書を作った方がいいのか知りたい」
●「不動産の分け方で家族が揉めないようにしたい」
●「財産の棚卸しをサポートしてほしい」
ファーストパートナーズ会計事務所では、相続税の試算だけでなく、家族関係・財産状況・将来の意向に合わせた最適な相続準備をサポートしています。
家族の絆を守り、安心して相続を迎えるためにも、気になることがあればぜひお気軽にご相談ください。
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