COLUMN
コラム
親の介護は、ある日突然やってくることがあります。 病気や転倒、認知症の進行など、予想できないタイミングで“生活の変化”が始まります。
そのとき、多くのご家族が直面するのが、「何から手をつければいいのかわからない」という不安と、「お金や手続きの情報が整理されていない」という現実です。
しかし、介護が始まる“前”にいくつかのポイントを確認しておくことで、負担やトラブルを大幅に減らすことができます。本記事では、早めに確認しておくべき「お金」と「手続き」をわかりやすく整理します。
介護は、「お金」「手続き」「家族の意思決定」という3つの視点から準備しておくと安心です。
① 親の財産・収入はどれくらいあるのか
② 誰が、お金・手続き・意思決定を担うのか
③ いざという時に使える制度やサービスは何か
介護は“長期戦”。最初に状況を把握しておくことで、精神的負担も経済的負担も大きく変わります。
介護費用は、状態やサービスの種類によって大きく変わります。親の経済状況を事前に把握しておくことが、最初の大切なステップです。
介護が始まると、銀行での手続きや費用の支払いが必要になります。しかし、口座や保険の情報が不明確だと、家族が代わりに動けないケースが多くあります。
●どの銀行に口座があるか(通帳・キャッシュカード)
●年金の振込口座
●生命保険・医療保険の契約の有無
●賃貸・駐車場などの収入があるか
親が認知症になると、家族であっても自由に預金を動かせなくなるため、早めの整理が重要です。
介護費用は、利用するサービスや住まいによって大きく変動します。
●在宅介護:月5万〜15万円ほど
●デイサービス:1回数千円〜(自己負担1〜3割)
●介護付き有料老人ホーム:月20万〜30万円以上
親の預金だけでまかなえるのか、子がどこまで負担できるのか、事前に方向性だけでも共有しておくと安心です。
介護保険サービスを利用するには、<strong>要介護認定</strong>を受ける必要があります。まだ元気なうちに制度を知っておくことで、必要な時にスムーズに動けます。
●デイサービス
●訪問介護(ホームヘルパー)
●訪問看護
●福祉用具レンタル
●ショートステイ など
「いざ必要になってから申請しても、すぐには使えない」点は意外と知られていません。
親が病気や認知症で判断能力が低下すると、銀行や役所での手続きが大きく制限されます。元気なうちに最低限の準備をしておくことが、家族の負担を大幅に減らします。
認知症になると、預金の引き出しができなくなる可能性があります。その対策として検討されるのが、「任意後見契約」や「家族信託」です。
●認知症になると家族でも口座から引き出せない
●任意後見契約は判断能力があるうちにしか結べない
●家族信託は財産管理の手段として有効
どの手段が適しているかは家庭状況によって異なるため、早めに専門家と方向性を検討することがおすすめです。
介護は医療と密接に関わります。手術・延命治療・入院など、重要な場面で家族の判断が求められます。
事前に次の点を整理しておくと、家族が迷わず対応できます。
●延命治療についてどう考えているか
●もしもの時、誰が判断を引き受けるか
●どこの病院・施設を希望しているか
「聞いておけばよかった」という後悔を防ぐためにも、元気なうちに話しやすい形で確認しておくことが大切です。
介護は、家族全員で役割分担しながら長く支えていくテーマです。お金や手続きの確認と同じくらい重要なのが、家族間のコミュニケーションです。
●誰がどのような役割を担うのか
●費用をどう負担し合うか
●介護の方針について、家族で共通認識を持てているか
親の意向と家族の意見を事前に整理しておくことで、介護が始まったときの負担やストレスが大きく減ります。
介護が始まると、時間も心も手続きも忙しくなり、相続のことを考える余裕がなくなることがあります。しかし、介護中の支払い、財産管理、意思決定は、そのまま相続にも関わる重要なテーマです。
だからこそ──介護前の「お金」と「手続き」の整理が、家族の未来を守る第一歩になります。
「何から手をつけていいかわからない」「親のお金のことを聞くのは気まずい」「家族で話し合うきっかけがほしい」
そんな時こそ、専門家と一緒に整理することで、家族間のコミュニケーションが円滑になり、間違いのない準備ができます。
ファーストパートナーズ会計事務所では、
●介護前の財産整理
●相続税の試算
●家族信託・贈与の相談
●遺言書作成の支援
など、家族の状況に合わせたトータルサポートをご提供しています。
介護・相続の不安がある方は、どうぞお気軽にご相談ください。
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